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祈るような気持ちで夜明けを待っている。
『今まで一度も、直接的に、現在進行形で、誰かの死を描かれたことはないから大丈夫』
この不確かな言葉だけが、今はわたしのお守り。
命を落とすにしても、再起不能になってしまうにしても、その人生はあまりにも短すぎる。

こういう気持ちを抱いたことは初めてではないのだけれど、今までは諦めがついた。わたしと出会った頃には全てが遅かったし、その時には既に変だった。でも彼は違う。繊細な男の子が、嫉妬に苦しんで苦しんでおかしくなってしまったのはわたしのせい。正確に言えば、わたしたちがそこに存在していたせいだ。ましてや彼は子供で、自業自得だとも自己責任とも思えない。こんなことはなかったよね。わたしがいることを求められているか、わたしがいて、上手くいくかのどちらか。わたしたちの存在がマイナスになったのはこれが初めてじゃない?

でもね、ずっと大事に信じてきた宝物を横から別の誰かにとられたら、それが出来たばかりの初めての友達であっても、自分がどう頑張っても勝てない相手であっても、普通は許せないわ。わたしだったら刺す。刺してでも奪い返した。
もちろんそのひとつに拘らなくたって、他にも色んな価値観があって、これから先生きていれば自ずと見つかるもの。でも、好きになった以上は好きで、そのひとしか見えない。だから好きなひとがいなくなった生は余生なんだよ。生きていたって仕方がない。希望の光がない中で生きていくにはあまりにも人生は長すぎる。

どうか、彼が少しでも報われますように。
彼もその姉もこれ以上かなしいことになりませんように。
全てわかる明日まで、静かにひとり祈ってるよ。